tempo 第2号 / 2021

私が今立っているこの場所、この世界。
そこで出会う生命。触れ合う肌、見聞きする、ものやこと。
すべては現実のようでいて、そうではないかもしれません。

見間違いや思い違いが、潜んでいることもあるでしょう。
夢とうつつが混在している瞬間もあれば、
ある一面を全体だと思い込んでいることも、ままあります。

本当だと信じていたものが、
急に信じられなくなってしまったそのかたわらで、
虚構が現実を救い、
はてしない想像が、現実を更新していくことがあります。

  虚構と現実。
  妄想と事実。
  嘘と本当。

その間(あわい)を行ったり来たり揺れながら、私たちは生きています。
この〝生きている〟ということでさえ、
どこまでが現実で妄想なのか、すべてを掴みきることは、難しい。

  〝我思う、ゆえに我あり〟
   Je pense, donc je suis.

自分は本当は存在していないのではないか?
そう疑っているという事実だけは覆すことができない。
フランスの哲学者、ルネ・デカルトが残した言葉です。

人間は、進化の過程で言葉を獲得し、
思考することを手にしました。
やがて思考はたくさんの概念を生み出し、
私たちはその概念に佇む虚実をさまざまな形で表現し、術(すべ)としてきました。

tempoは、テクノロジーと自然にピントを合わせながら、
今を生きる術を思考する、毎号ワンテーマの観察メディアです。

第2号のテーマは〝虚と実〟。
さまざまな場所に息づくそのあわい。
確かなようでいて留まらない、虚実を観察しました。

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目次

Hello, My name is tempo.
虚と実

人生の虚と実
心身一如。人生の全体性を取り戻す
稲葉俊郎(医師)
構成・文:村岡俊也 絵:中島あかね

俳優の虚と実
不思議を愛して、瞬間を愛する
満島ひかり(俳優)
構成・文:水島七恵 写真:石田真澄

コラム1
黒い温泉の湧く土地で生まれた女
長崎訓子(イラストレーター)

衣服の虚と実
布と身体のあいだで
近藤悟史(ISSEY MIYAKEデザイナー)
構成・文:水島七恵 写真:高橋マナミ

虚実の観察「見立てる」
石も花であれば、水も花
花屋みたて
構成・文:村岡俊也 写真:在本彌生

コラム2
相棒である「虚」を失った「実」だけの世界は、「虚」に包まれる
牧野伊三夫(画家)
写真:白石ちえこ

能の虚と実
内と外。そのあわいにある世界
有松遼一(能楽師ワキ方高安流)
撮影協力:林宗一郎(能楽師シテ方観世流)
構成・文:水島七恵 写真:黄瀬麻以

数の虚と実
人間中心的ではない思考の領域
森田真生(独立研究者)
構成・文:宮本裕人 写真:山本康平

それぞれの虚と実

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tempo第2号
企画・プロデュース
相崎香帆里(富士通株式会社ソーシャルデザイン事業部)

企画・編集ディレクション
水島七恵

アートディレクション・デザイン
樋口裕馬

表紙、裏表紙の絵、中面イラスト
中島あかね

発行
富士通株式会社ソーシャルデザイン事業部

印刷
株式会社八鉱美術

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オンラインで読むtempo、およびtempo配布場所を公開中。
https://www.fujitsu.com/jp/innovation/socialdesign/tempo/